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グループ紹介
診療部門
内科分野の中で、代謝の中枢を担う肝臓および胆・膵臓疾患、近年増加の一途をたどる糖尿病および内分泌疾患を主な担当分野とした診療科です。
肝臓・胆膵
主な対象疾患
【肝臓疾患】
ウイルス性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性肝疾患、自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎等)、遺伝性肝疾患(ウィルソン病等)、薬物性肝障害、以上の急性肝炎(劇症肝炎を含む)、慢性肝炎、肝硬変、肝がん
【胆嚢疾患】
胆嚢結石、総胆管結石、胆嚢炎、胆管炎、胆嚢がん、胆管がん
【膵臓疾患】
急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がん、膵嚢胞性疾患
【その他】
肝胆膵疾患を背景とした閉塞性黄疸、体質性黄疸
ウイルス性肝炎
ウイルス性肝炎は血液検査や超音波の肝硬度測定を行い、外来で診断・治療しています。
C型肝炎ウイルスは副作用が稀な飲み薬により、当院では95%以上の患者様がウイルス排除しています。
B型肝炎ウイルスも副作用が稀な飲み薬で多くの患者様を診療しており、抗がん剤や免疫抑制薬を使うB型肝炎患者様の治療も承ります。
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)
肥満やメタボリック症候群が原因の脂肪肝である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の中で、NASHは肝臓癌や肝硬変に進展しうる、わが国で増加中の肝疾患です。
当科はNASHの最先端の機器を用いた診断や、多数の臨床試験、治験を含む治療を、全国に先駆けて設立したNASH専門外来で行っております。
(NASHの肝組織像)またNASHは糖尿病をはじめとする生活習慣病や内分泌疾患との関連が深いとされ、肝臓専門医と糖尿病専門医、内分泌専門医が連携してきめの細かい診療を提供しております。
米国や世界各国の医療機関、研究機関と提携した 臨床研究及び基礎研究にも力を入れており、患者様一人ひとりの病態にあった方針で診療にあたります。
(写真はNASHの肝組織像)
肝がん
肝がんの診断・治療は超音波、CT、MRIを併用して早期発見に努め、治療方針は定期的に開催している消化器外科、放射線科との合同カンファレンスで決定されます。
専門性を持つ複数の科が一人ひとりの症例を検討することで、最先端かつ最も効果的な治療法が選択できる体制となっています。
肝臓移植手術は長崎大学や九州大学の移植外科等と連携しており、移植が望ましい症例は綿密に連絡を取って移植手術を提案しています。
最先端の治療である重粒子線治療は鳥栖にあるSAGA-HIMATに治療を依頼しており、こちらも対象となる症例は随時治療の提案と紹介を行っております。
胆膵疾患
胆膵疾患については、近年増加している膵・胆道癌に対する早期発見を目指した画像診断、内視鏡診断を行っております。
また、外科や腫瘍内科とも連携して化学療法や外科切除、さらには放射線治療など各科と連携を取りながら適切な治療法をお勧めできるように努めています。
また、小腸内視鏡を使用した術後再建腸管に対するERCP関連治療や、EUS-FNA手技を応用した膵のう胞ドレナージなど最新の治療にも取り組んでいます。
B型肝炎訴訟外来
B型肝炎訴訟とは、幼少期に受けた集団予防接種等の際に注射器が連続使用されたことによって、B型肝炎ウイルスに持続感染したとされる方々が、国による損害賠償を求めている訴訟です。
給付金を受け取るためには、救済要件を満たしていることと、病態を証明するため、医療機関などから必要な証拠を収集していただき、国を相手とした国家賠償請求訴訟を提起していただく必要があります。
詳しくは厚生労働省のWEBサイト<B型肝炎訴訟について>をご確認ください。
当外来では、手続きを行うために患者さんからご依頼を受けた検査の実施や意見書・診断書の作成を行っております。
持参されたカルテ等の医療記録を元に診断書を作成しますのでご留意ください。
なお、当院での医療記録に関しては2004年2月以降であれば持参は不要です。
ご不明点がございましたら、相談されている弁護士事務所にお尋ねください。
超音波検査
当院では中央診療部門として検査部で超音波検査を行っています。週3回医局員が、主に当科の患者さんの腹部エコー検査を行っています。
当科には2名の超音波専門医・指導医がおり、質の高い検査を行うように心掛けています。
また、超音波エラストグラフィやフィブロスキャン、超音波の減衰を利用した脂肪化の評価(ATI, UGAP)など最新の装置を揃えています。
肝疾患診療連携拠点病院、肝疾患センター
佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センターは、長年続いてきた佐賀県の肝がん粗死亡率ワーストを改善することを目標として、平成24年1月に設立されました。
肝がんの主な原因は肝炎ウイルスであることから、正しい知識やワクチンなどで感染を防止する「予防」、感染しているかを検査する「受検」、感染している可能性がある場合は専門医で精密検査をうける「受診」、近年劇的に進歩した治療薬で抗ウイルス治療をうける「受療」、治療後も定期的に専門医を受診する「フォローアップ」の5ステップを県民ひとりひとりがきちんと進めることが、肝がんの防止につながります。
私たちが開発したこの疾病対策モデルは佐賀方式と呼ばれ、現在では全国でも肝炎対策の基本的な考え方となっています。
これまで佐賀県や市町、医師会、企業や患者会をはじめ多方面の皆様と協力して
1.県民の皆様や医療機関、行政機関、企業などへのTVや新聞広告、講演等による啓発活動
2.佐賀県が進める肝炎医療コーディネーターの養成・活動支援への全面的協力
3.県内のデータ解析に基づき、ソーシャルマーケティング手法を応用した活動や研究
を行なってきました。
このような県全体が一体となった活動が結実し、ついに平成30年度の佐賀県肝がん粗死亡率は20年ぶりにワーストワンを脱却することができ、令和元年度にはさらにワースト12位まで大きく改善しました。
今後は新たな肝がんの原因として注目されている非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対しても、疾病対策モデルを構築して対策を行なっていく必要があります。
佐賀県の肝がんがゼロとなるその日まで、私たちは当センターの役割を、熱意をもって果たしていきたいと考えています。
詳しい活動は、肝疾患センターのHPをご覧ください。
糖尿病・内分泌
主な対象疾患
【糖尿病疾患】
1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、1型糖尿病合併妊娠、2型糖尿病合併妊娠、その他の糖尿病
【内分泌疾患】
下垂体疾患、甲状腺疾患。副甲状腺疾患、副腎疾患、性腺疾患、膵神経内分泌疾患、腫瘍性骨軟化症
糖尿病
糖尿病は血糖コントロール不良な状態が続くと、様々な臓器に合併症(糖尿病神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病足病変など)を及ぼす可能性があり、糖尿病治療の主な目的は合併症を防ぐことにあります。
糖尿病の合併症の進行抑制のために、「佐賀県糖尿病連携手帳」や「カードシステム」を活用し、患者様の糖尿病の合併症の状態をかかりつけ医と共有できるようにしております。血糖コントロール不良な症例や合併症が進行した患者様は約二週間の糖尿病教育入院を行っております。
看護師、管理栄養士、薬剤師、メディカルソーシャルワーカーなどと連携して、患者様一人ひとりに対応した治療を提供するように努めております。
透析予防
糖尿病腎症による透析導入患者様は増加しております。特に尿中アルブミン量や尿蛋白量が多い患者様、経時的に腎機能が低下傾向にある患者様は透析導入リスクが高いと考えられ、透析導入を予防するために医師、看護師、管理栄養士と連携して、療養指導を行っております。
フットケア外来
糖尿病の患者様は神経障害や血管障害のため、糖尿病足病変に気づかないことが多くあります。定期的な足の観察やケアが必要なため、看護師や形成外科医師と連携して、フットケア外来を行っております。
1型糖尿病外来
毎週火曜日午後は1型糖尿病の患者様を中心に診察する外来を開設しております。CGMS(持続血糖モニタリング)を用いて1日の血糖の動きを評価し、適切なインスリン投与量を決定するよう努めております。従来の強化インスリン療法だけでなくインスリンポンプ(CSII/SAP)の導入も積極的に行っています。
妊娠糖尿病外来
毎週水曜日午後は妊娠糖尿病を指摘された患者様を中心に診察する外来を開設しております。産婦人科と連携して、妊娠中や産後も診察しております。妊娠糖尿病を指摘された患者様は将来糖尿病を発症される頻度が多いため、出産後も経口ブドウ糖負荷試験を行い、定期的に診察しております。
内分泌疾患
内分泌疾患は甲状腺疾患が多く、毎週水曜日午後に甲状腺外来を開設しております。他の医療機関からは原発性アルドステロン症や副甲状腺疾患の患者様を多くご紹介いただき、他科と連携しながら、精査・治療を行っております。その他、下垂体疾患、副腎疾患、性腺疾患なども幅広く診療しております。